2010.08.10 00:43 更新
真夏の夜の怪花/「フラワーパークかごしま」の
スマトラオオコンニャク(指宿市・鹿児島県)
"世界最大の花"といえば、有名な「ラフレシア・アーノルディ」が浮かぶ向きが多いだろうし、実際、単体としてこれを超える巨大花はまだ発見されていない。ところが、花の区分もいろいろあるもの。花の集合体・付属体を含めて世界最大とみなされるのは、ラフレシアと同じく熱帯雨林に生息する「スマトラオオコンニャク」。ろうそくを立てる燭台に似た形状から、「ショクダイオオコンニャク」の異名も持つ。最大で高さ3.5㍍の記録もあり、何より7年に一度しか開花しない珍しい植物でもある。
この夏、東京の小石川植物園でオオコンニャクが開花して話題を呼んだが、指宿の「フラワーパークかごしま」でも、小石川から株分けした"兄弟"が後を追うように花芽を伸ばし、俄然注目を集めた。7年の通例を破る2年越しの開花で、これまた珍事だという。
待望の開花は7月31日と予想されたが、実際は少し遅れて8月2日。平日とあって、すぐさま駆けつけるわけにはいかなかったが、園の好意で22時まで延長された開園を当て込み、夜のハイウェイを南へ急ぐ。問い合わせた情報では、さほど混雑もしていない様子。「さすがは平日」と頬が緩む。軽く拝んで、美味いものでも食べて帰るとするか...。
ところが、園を目前にして続々現れる車のライト。不穏な予感が心を翳らせる。こんな時は当たるもので、飛び込んだ駐車場は車で溢れ返り、夜の通路は大群の長い列。皆、仕事帰りに急遽動き始めたのだろうが、我が身を振り返りつつも大いに閉口する。
東京の4時間には及ばずとも、大いに辛抱の要る30分を経て、温室に鎮座するコンニャク様への拝謁が叶う。薄暗く蒸し暑い夜の闇に、高々とそびえる巨大な花序。そして周囲を圧する、生ゴミのような腐敗臭(ハエを集めて受粉させるため)――ド迫力と尋常ならざる不快感を併せ持つ奇花の降誕は、まさに夏の夜こそふさわしい。翌朝には早くもしぼみ始めたそうで、一夜の幻影を心に刻んだ腐臭の女神だった。
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(写真上)薄暗い温室の中、堂々と屹立するスマトラオオコンニャクの花。迫力十分だが、すさまじい腐敗臭を放つ
(写真下)話題のオオコンニャクを見ようと、夜のパークは大にぎわい! コンニャク様詣での長い列が続く