2010.04.23 20:04 更新
天を指す祈りの屋根/白川郷②(白川村・岐阜県)
遠目には、いずれも同じように思える合掌造の家々であるが、間近に見ると大きさ・新旧の度合い・形状など一軒づつ異なる。屋根を分厚く覆うのはススキではなく、茅場で育てたカヤ。「茅葺屋根」と呼ばれるゆえんである。
「合掌造」の語源は、急角度の屋根が両手を合わせたように見えることである。茅葺自体は日本でよくあるスタイルだが、この地方は日本有数の豪雪地帯。雪下ろしの手間を少しでも軽減するため、天を衝くような形状になってきたと考えられる。
また、満遍なく陽が当たるよう、合掌屋根はほとんどが東西を向くように建てられる。点在する建物がいずれも同一方向を指しているのはこのためだ。必要に迫られた規則性だが、図らずも集落の美観に一役買っている。
よく知られているように、白川郷と近隣の五箇山は1995年、日本で6件目の世界遺産に登録され、今や日本有数の観光地である。かつて秘境と呼ばれた小集落も、抜群の知名度と高速道路の開通に後押しされ、連日大勢の観光バスが押し寄せる。観光と生活の両立など課題も多いが、行楽客の笑顔があふれる早春の山里を歩くのも、また楽しいものである。
yu