2009.06.13 00:37 更新
南九州では5月半ばを過ぎると、各地でホタルが舞い始める。音も無き愛らしい飛灯と、静寂の闇に広がるせせらぎの音は、何度目の当たりにしても飽きることがない。私事で恐縮だが、拙宅そばの水辺でもささやかながら風情を楽しむことができ、初夏は毎夜の帰宅が楽しみだ。
九州で最も優れた名所の一つが、湧水の里としても知られる宮崎県小林市の「出の山公園」。シーズンには「ほたる祭り」が催され、週末など多数の見物客でにぎわう。
山際に陽が隠れるのと入れ替わりに、"出待ち"の追っかけが水源の周りを取り巻く。空気が藍色に変わる中、ポツリ、ポツリと浮かぶほのかな光。ギャラリーからどよめきと笑声が上がり、初夏の宴が幕を開ける。
ホタルがなぜ光るかは諸説あるが、よく言われるのはオスとメスの求愛だ。ホタルの成虫は水しか飲まず(口が退化しているため)、幼虫時代に蓄えた栄養で余命をつなぐ。刻々迫る死期の中、恋に燃える灯火のはかなさ、美しさが、人々の心を惹きつけて止まないのだろう。
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(写真上)「ホタルはまだ?」――出の山の水源で夜を待つギャラリー。一帯ではフルート演奏や野点も
(写真下)ふけゆく初夏の夜を彩るホタルの灯火