2009.04.10 11:13 更新
天地人紀行③/雲洞庵(新潟県)
新潟県・南魚沼の古刹「雲洞庵」。「天地人」では、与六(兼続)と喜平次(景勝)が幼少期に学んだ地として登場した。
庵の開基は1300年前にさかのぼり、藤原北家の祖・房前が、母の菩提を弔うため律宗の尼僧院を構えたのが始まりとされる。次いで室町時代、関東管領上杉憲実が曹洞宗の禅寺として再興。以来、「越後一の寺」として尊崇を受けてきた。
現在も宝永年間(1704~1710)に再建されたという本堂をはじめ、杉木立の中にそびえる赤門、法華経の文字を刻んだ石畳が続く参道、雲水(僧侶)たちが修行に励む僧堂など、禅宗寺院の佇まいがよく残っている。
雪の参道では感じなかったが、本堂に入ったとたん、空気が凛と一変するのに驚く。芯まで染み入る冷たさ。物見遊山の気分は吹き飛び、謹んで案内に続く。軽装に素足、雲水たちの日々はいかばかりか。そして学問と修行に励んだ若武者達の暮らしぶりは――仮に私がこの世界に入ったとして、3日と続くものではない。が、客殿の回廊から雪の境内を眺めるうち、フゥと心が落ち着いてくる。寺院に限らず歴史を重ねた地には、人を動かす何かがある。
拝観を終えて宿へ戻る中、ガイドさんに声をかけ道端で車を止めてもらう。どこまでも白一色の広大な水田と、彼方に霞む山並み。寒々しいモノクロの世界が、南国の旅人には新鮮だ。しかし、あと3カ月経てば肥沃な黒土が顔をのぞかせ、半年後は野も山も鮮やかな緑に染まる。躍動を期して、今は静かな眠りにつく越後の大地。北国の四季の移ろいは、かくもダイナミックで美しい。
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(写真上)雲洞庵の本堂と内陣。佐渡から持ち込まれたという扁額は、承久の乱で流された順徳上皇の手によると伝わる。雪がせり出す屋根、高々とそびえる山門の杉並木も格別の趣
(写真下)冬の眠りにつく魚沼コシヒカリの水田。厳しい冬と雪が、極上の米を育む