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2009.02.10 02:20 更新

GOGOジパング⑳

北辺の怨念隧道/常紋トンネル(石北本線・北海道)

 

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 怪奇現象のミステリースポットとして、トンネルが取り上げられることがしばしばあるが、鉄道では北海道・石北本線の「常紋トンネル」が有名だ。「中を通った駅員が食べ物を求めるうめき声を聞いた」「近くの駅に幽霊が現れた」「機関車の前に血まみれの男が立ち、発車できなくなった」など、奇怪なエピソードが後を絶たない迷所である。

  大変酷いことだが、北海道の鉄道建設はそのまま強制労働の哀史でもある。当初は囚人が使役され、その廃止後は"タコ部屋"労働者が取って代わった。悪質な紹介屋に騙され、あるいは拉致同然に集められた労働者たちが、厳寒の中で過酷な作業に心身をすり減らしたのだ。満足に食事も与えられぬまま逃亡を防ぐため山奥に隔離され、脱走者には容赦ないリンチ。力尽きて倒れた男達は、弔いさえ施されずに遺棄された。

 中でも1912年から始まった常紋トンネルの工事は難渋を極め、約500メートルの開削に3年を要し、百数十人を超える犠牲を出している。後にトンネルの亀裂を修復した際には壁から人骨が出土し、そのため人柱伝説まで生まれた(実際は倒れた犠牲者をそのまま埋めたものと思われる。トンネル周辺でも大量の人骨が発見されたという)。その凄惨ぶりは枕木の数がそのまま死者数といわれたほどである。

 常紋はとりわけ酷かったのだが、程度の差はあれ、同じような虐待は道内各地で起きていた。駆けゆく列車の下には無数の悲哀が、知る人も無いまま眠っているのである。

 粉雪が吹きすさぶ中、窓を開けて極寒の峠道に目を凝らす。彼方から、かつての墓場がポッカリ口を開けて近づいてきた。「ピキィィィィィィィィィィィーーーーッ」――北辺に倒れた男達の無念を悼むかのように、甲高い汽笛が長々と響き渡った。

                                                       yu

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